日本

「海外でジェンダーをライフワークとして取り組む方々は非常にパワフルで、実際にお会いしてお話をするだけで存在感が大きく、私自身も大きな刺激を受けている」 - 荒木 愛美子(国土交通省)

海外でジェンダーをライフワークとして取り組む方々は非常にパワフル

「海外でジェンダーをライフワークとして取り組む方々は非常にパワフルで、実際にお会いしてお話をするだけで存在感が大きく、私自身も大きな刺激を受けている」 - 荒木 愛美子(国土交通省)

自己紹介・きっかけ

ジェンダーと交通・まちづくりの政策テーマには、2024年夏に国際政策課へ配属された際に初めて向き合いました。省全体としてジェンダーの視点から取り組む前例がないことを知り、新しい業務に挑戦したいという思いから関心を持つようになりました。入省後は米国留学やパリOECD本部での勤務経験を経て、現在はインフラシステム海外展開に関する国際協力を担当し、OECD(ITF)、APEC、国連、ASEANなどの国際会議に日本代表団として参加しています。これら本務に加えて、海外の事例や考え方を日本の施策立案につなぐ「橋渡し役」として、国際的知見の国内還元にも取り組んでいます。

担当プロジェクト(2024年夏〜2026年春)

国際部門(交通分野)の担当として、以下3つの側面からジェンダー関連の取組を進めています。

(1)多国間国際会議での発信

国際会議では、自らの発言枠に「ジェンダーと交通」の視点を積極的に組み込み、所属部署が関心を持つ分野であることを発信するよう努めています。具体的には、OECD(ITF)のジェンダー関連会合で、国土交通省のパーソントリップ調査を用いて日本の男女別データから得られる政策的示唆を説明したり、防災とジェンダーの関係について日本の知見を共有したりしたほか、APECの専門家会合では交通産業における女性活躍について議論を行ってきました。また、国連(ESCAP)では、SDGsや持続可能な交通分野におけるジェンダー主流化の重要性を発信し、日ASEAN交通連携の枠組みでは交通分野でのジェンダー主流化に関する研修も実施しました。 このように、交通分野の国際会議の場を活用し、政策実務者として多角的な切り口から発信を行ってきた結果、国際機関や各国政府関係者から声をかけていただく機会が次第に増えてきました。メールやオンライン会議を通じてフォローアップを行いながら、交通分野におけるジェンダー主流化に関する情報収集やネットワーク構築へとつなげています。

(2)国内還元(省内検討)

国際会議で得られた知見を国内へ還元する取組として、OECD(ITF)等の知見の共有を進めています。例えば、省内でジェンダー主流化の議論が本格化した2024年秋以降、私は「若手・中堅女性職員による懇談会」に参画し、省内での検討にも携わりました。懇談会では昼休みに自由な意見交換を行い、今後の政策立案の出発点となるアイデアや課題意識を収集しました。本懇談会を踏まえ、「国土交通分野におけるジェンダー主流化の推進について」、「懇談会のアイデア・意見一覧」の取りまとめに携わりました。アイデアには、鉄道・バス・タクシーに関する利用者目線の改善案として、女性がつかまりやすい高さの吊革の設置、夜間の不安感を軽減するためのバス停の照度向上の必要性など、生活に身近な分野での意見も盛り込まれています。また、国土交通省が今後取り組むべき事項、所管業界に関する意見も取りまとめ、例えば、まずは政策提供者である国土交通省自らが意識改革を進め、人材育成や体制整備を推進していく必要などが盛り込まれています。なお、本取りまとめ結果は文書として公表され、省トップへ直接手交する機会に恵まれたとともに、本懇談会に携わった職員一同、職員表彰(大臣表彰)をいただくことにも繋がり、印象深い業務となりました。

(3)ウェブサイト構築

取りまとめ結果では、ジェンダー主流化の効果、幅広い関係者の理解と協力、広報活動の重要性が示されています。ジェンダー主流化は概念が掴みにくい側面もあるため、ウェブサイトの「世界のインタビュー」では、取組の背景や思い、プロセスに焦点を当て、読者の理解促進につながるよう工夫しました。国際会議等では関係者に直接会って話す機会があり、示唆に富む視点や行動力に触れられる貴重な実体験を得ています。これらの実体験を、ウェブサイトを通じてではありますが、読者の皆さんに”疑似体験”として伝えられればと考えています。

今後の展望

ジェンダー関連業務に携わった期間はまだ長くありませんが、国際会議で出会った方々が公共性の高い課題に向き合い、「誰かのために行動する」取組を続ける中で、その方ご自身の職業人生が豊かになっていくのだと、目の前で気づかされる瞬間がありました。海外でジェンダーをライフワークとして取り組む方々は非常にパワフルで、実際にお会いしてお話をするだけで存在感が大きく、私自身も大きな刺激を受けています。 また、多くの関係者が本務と並行してジェンダー業務「も」担っていることが印象的でした。ジェンダーが分野横断的なテーマであることがその理由の一つと思われます。私自身も国際協力が主務であり、ジェンダー業務「も」取り組んでいます(主務への「上乗せ」での業務)。業務多忙期や家庭の事情が重なった際には、負担に感じる瞬間があったことも正直なところですが、できる範囲で取り組む中で、自身の学びに繋げています。さらに、比較的新しい取組であることもあってか、若手の活躍機会・やりがい形成にもつながる場面も見受けられ、その姿を見て、私自身がこの業務を続けたいと思う動機になっています。 今後、異動などで業務が変わる場合でも、ジェンダーの視点から社会をより良くできる余地がないかを意識しながら、公務に取り組んでいきたいと考えています。

※ 各インタビューは所属組織のものではなく個人の見解です。また、所属・タイトル等はインタビュー当時のものです(2026年3月更新)

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