フランス

「世界はあらゆる分野で最高レベルのあらゆる才能を必要としています。STEM教育はそのためのリーダー育成の鍵です。男女が協力し、目的意識を持ち人間中心で先見性のある女性によるリーダーシップを進めていきましょう。」 – Chiara CORAZZA (G20 Empower)

世界はあらゆる戦略的分野において、最高レベルのあらゆる才能の貢献を必要としている

「世界はあらゆる分野で最高レベルのあらゆる才能を必要としています。STEM教育はそのためのリーダー育成の鍵です。 男女が協力し、目的意識を持ち人間中心で先見性のある女性によるリーダーシップを進めていきましょう。

世界はあらゆる戦略的分野において、最高レベルのあらゆる才能の貢献を必要としていると強く信じています。STEM教育は、こうした才能をリーダーシップへと育てるための基盤となります。目的意識を持ち、人間中心で、先見性のあるリーダーシップに向けて男女が共に力を合わせ、女性によるグローバルリーダーシップを実現しましょう。」 – Chiara CORAZZA

自己紹介

私は約47年間にわたり世界80カ国以上で活動してきました。現在は、日本がG20議長国であった2019年に設立されたG20女性ビジネスリーダー・タスクフォース「EMPOWER」において、フランスの民間セクター代表に任命されており、グローバル企業や政府と協力し、人間中心でバランスの取れたガバナンスの推進に取り組んでいます。

私のキャリアは、イタリアの新聞社Il Globoでジャーナリストとして始まりました。当時、女性記者は2人しかおらず、「若すぎる」「金髪すぎる」「優しすぎる」などの理由で、戦地取材に行かせてもらえないこともありました。しかし、こうした経験を通じて、誰もが公平に活躍できる社会をつくりたいという思いを強くしました。

結婚を機にフランスへ移住した後は、持ち合わせの語学力と国際的な能力が評価され、イル=ド=フランス地域圏知事により、世界初の大都市連携組織「メトロポリス(Metropolis)」の設立担当として採用されました。私は、パリと他の首都圏の間で20以上の二都市間経済協定を締結しました。特に印象深い経験は、東京とパリの都市間協定を成立させたときのことです。協定の交渉と準備に1年以上を費やしたにもかかわらず、公式晩餐会の場では発言しないように言われ、晩餐会の最後に「上野公園のパンダの赤ちゃんを見ましたか?」とだけ質問されたことです。当時言われたことに従い、自分の貢献について発言しなかったことを後悔しました。それ以降、才能にあふれる女性がたくさんいるにも関わらず、彼女たちにスポットライトが当たらない光景を目の当たりにする中で、女性のエンパワーメントの推進に注力するようになりました。

これまでの歩みとジェンダー課題に取り組む背景

私が一貫して感じてきたのは、「女性が意思決定の場に公平に参画できる社会は、個人のためだけでなく、社会全体の利益とっても大きな意義がある」ということです。

このように考えるのはなぜか。1つ目の理由は、経済的利益があるためです。女性が高いポストに就くことは、単に男女の対立を生むゼロサムゲームではなく、女性の貢献によって社会全体のパイを拡大します。男女が共に意思決定やプロジェクトに関わることで、多様なアイデアや経験が集まり、より優れた解決策や、それまでは発掘されていなかった新たな需要が生まれます。実際に、女性が経済活動に十分に参加することで、世界のGDPの20%、すなわち28兆ドルの増加が見込めるというデータもあります。したがって、ジェンダー平等は「経済の損失を防ぐ」という観点からも重要であり、女性起業家や女性リーダーが活躍できないこと自体が社会的・経済的に「大きな無駄」だと考えています。

2つ目の理由は、女性が持つ男性とは異なる特性・能力を、社会の様々な場面で生かす余地があるためです。例えば、女性は男性に比べて、「安全性」や「居心地の良さ」に対する感受性が鋭いと考えています。RATP(パリ交通公団)では、夜10時以降にバスが「バス停間の希望する場所で降車できる」ようにしています。これは、元々は女性の視点を取り入れ、女性の安全のために導入されたものですが、実際には男性も同じくらい利用しており、結果的に全ての利用者にとって便利なものになっています。また、女性は長期的な視野や持続可能性への配慮が高い傾向があり、その特性が企業経営でもプラスに働き、より現実的で持続可能な経営判断につながると考えています。現状では、こうした男性とは異なる女性の特性・能力が十分に活かされていないのは、社会全体にとって大きな損失です。

以上の考えのもと私は、女性が経済や意思決定の場で活躍できるような好ましい枠組みづくりに注力してきました。経営幹部への女性登用を義務付ける「リクサン法」や、イタリアやフランスにおける公共調達制度改革などです。ジェンダー平等は社会的利益を高め、経済成長や様々な分野におけるイノベーションにも直結するものです。だからこそ、女性の活躍が非常に重要だと考えています。

現在取り組んでいるプロジェクト

現在は、「Global Leadership by Women」という運動を主導し、世界各国の女性ネットワークや企業を結集し、男女が平等に意思決定に参画できる新しいガバナンスの実現を目指しています。AIやサイバーセキュリティ、エンジニアリングなど、未来志向の分野における男性比率が高いことも課題と感じており、同分野における女性の参画促進にも力を入れています。これは、様々な価値観が交わる多様性に富んだ組織の方が、成功する可能性が高いからです。また、公共調達におけるジェンダー平等の推進、企業のダイバーシティ評価、女性ロールモデルの可視化、ネットワーク構築など、多面的な活動にも取り組んでいます。

プロジェクト内での役割:女性によるグローバル・リーダーシップ運動

私自身は、制度設計や政策提言、国際会議の企画・運営、ネットワーク構築など、プロジェクト全体をリードする役割を担っています。フランスやイタリアをはじめとする各国の法改正プロセスに深く関与したほか、企業や行政、国際機関と連携し、女性の登用を促進する仕組みづくりを主導してきました。また、女性同士が支え合うネットワークの構築や、ロールモデルの可視化にも取り組んでいます。

プロジェクトの結果と評価

フランスの「コペ・ジンメルマン法」や「リクサン法」など、役員層での女性比率を引き上げるための法律が制定されたにより、取締役会や経営層における女性の割合が着実に増加しました(それぞれ46%、28%)。また、公共調達制度の改革や女性起業家支援の取り組みによって、女性の経済的機会が拡大しています。こうした成果は、企業のガバナンスやイノベーション、社会の多様性向上にも寄与しています。さらに、女性が交渉や意思決定の場に参画することで、より持続可能で実効性の高い政策や合意形成が進むことも確認されています。

今後の展望

私は「Global Leadership by Women」という運動を立ち上げ、世界各国の女性ネットワークや企業と連携して、男女が公平に意思決定に関わる新しいガバナンスの構築を目指しています。女性だけでなく男性もこの運動の強力な協力者です。持続可能で人間中心の社会を実現するために、女性のリーダーシップを含めた多様な視点が不可欠です。

また、平和構築やインフラ、経済など、あらゆる分野で女性が意思決定の場に参画することで、より現実的で持続的な解決策が生まれると確信しています。例えば、和平交渉に女性が参加すると、平和は35%長く持続することが証明されています。

日本へのメッセージ

日本は教育水準が高く、女性向けの法制度も整っていますが、重要なのはそれらを「実践する文化」と「前例となるロールモデル」、そして「女性同士が支え合うネットワーク」です。女性達には、他人に役割を決められるのではなく、自分たちの力を信じてほしいです。社会の変革を担う存在であることを意識し、ぜひ積極的にリーダーシップを発揮してほしいと思います。

※ 各インタビューは所属組織のものではなく個人の見解です。また、所属・タイトル等はインタビュー当時のものです(2026年3月更新)

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